辨 |
ヤマアイ属 Mercurialis(山靛 shāndiàn 屬)には、ユーラシアに8種がある。
ヤマアイ M. leiocarpa(山靛)
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トウダイグサ科 Euphorbiaceae(大戟 dàjĭ 科)については、トウダイグサ科を見よ。 |
訓 |
「和名ハ山藍ニシテ山地ニ生ズル藍ノ意ナリ」(『牧野日本植物図鑑』)。即ち、畑で栽培されるタデ科のアイ(藍)に対して、山に自生する藍の意。
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説 |
本州・四国・九州・琉球・朝鮮・臺灣・浙江・江西・兩湖・兩廣・西南・インドシナ・ヒマラヤに分布。
埼玉県では絶滅危惧ⅠB類(EN)。 |
青色色素シアノヘルミジンを含む。しかし、アイやリュウキュウアイのように青藍(インジゴチン)を含まない。従って、浸染の方法で染めても藍色にはならず、緑色になる。しかも、水洗いすると変色する。
しばしばアイやリュウキュウアイと混同して青藍染料植物とするのは誤り。(一説に、明治の初めころ鹿児島で リュウキュウアイを栽培して山藍と呼んでいたことに発する混同、という。) |
誌 |
一説に、万葉時代以前から利用された染料植物である山藍はこれだという。
すなわち、生葉を搗いて出る汁から衣を青磁色に染め、これを山藍摺りと呼んだ。ただし、後に中国からアイが伝来すると廃れた、という。 |
『万葉集』に、
級(しな)照る 片足羽(かたしは)河の さ丹(に)塗りの 大橋の上ゆ
紅の 赤裳すそ引き 山藍もち 摺れる衣(きぬ)服(き)て ただ独りい渡らす児は
若草の 夫(つま)か有るらむ 橿(かし)の実の 独りか寝らむ
問はまくの 欲しき吾妹が 家の知らなく (9/1742,読人知らず)
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